子どもの個性・認知特性に合わせて「集中力が続く」学習環境を設計するプロの視点

このようなご相談をよくいただきます。

実は、集中力が続かないのは、お子さんのやる気の問題ではなく、「脳の情報の取り入れ方（認知特性）」と「性格（エニアグラム）」に環境が合っていないだけかもしれません。

私たちおうち受験コーチングでは、画一的な「よい環境」ではなく、お子様一人ひとりに合わせたオーダーメイドな環境作りを提案しています。

今回は、「認知特性」×「エニアグラム9タイプ」という2つの視点から、お子様が驚くほど集中できる学習環境の設計方法を全公開します。

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脳の得意な「入力」スタイルに合わせる（4つの認知特性）

まずは、脳が情報をスムーズに処理できる「物理的な環境」を整えます。

視覚優位型：目で見て理解するタイプ

図や絵、文字からの情報処理が得意です。

• 環境設計： 「目からのノイズ」を減らすことが最重要です。机の上に気が散るものを置かないことはもちろん、壁紙やポスターもシンプルにします。
• おすすめ： 目の前を囲う学習用パーテーション、色分けされた整理グッズ。

聴覚優位型：耳から聞いて理解するタイプ

音や声からの情報処理が得意です。

• 環境設計： 「音」の環境が鍵です。無音を好む子もいれば、多少の雑音があったほうが集中できる子もいます。テレビの音や話し声は避けましょう。
• おすすめ： 音読ができるスペースの確保、耳栓やノイズキャンセリングイヤホン。

言語優位型：言葉で論理的に理解するタイプ

文章を読んだり、論理的に整理するのが得意です。

• 環境設計： 思考を整理するためのツールがすぐ手に取れる環境にします。
• おすすめ： すぐに書き出せる大きめのホワイトボード、辞書や参考書を手の届く範囲に配置。

体感覚優位型：動いて・触って理解するタイプ

実際に体を動かしたり、感覚を通して理解するのが得意です。

• 環境設計： 「じっと座っていること」自体がストレスになりがちです。姿勢を変えられる環境を用意します。
• おすすめ： バランスボール、スタンディングデスク、触り心地の良い文房具。

性格の「やる気スイッチ」を押す（エニアグラム9タイプ別環境）

次に、お子さんの性格タイプ（エニアグラム）に合わせた「心理的な環境設定」です。
タイプによって、心地よいと感じる場所や、やる気が湧く仕掛けは全く異なります。

【本能センター】自分のペースや領域を大切にするタイプ

• タイプ8（挑戦する人）：自分だけの城を作る
  • 特徴： 人に指図されず、自分でコントロールしたいタイプです。
  • 環境設計： 「ここは君の場所」と決めて、レイアウトなどを本人に任せます。親が勝手に片付けたり侵入したりしないことが重要です。
    
• タイプ9（平和をもたらす人）：居心地の良さとルーティン
  • 特徴： 穏やかでマイペース。同じパターンを好みます。
  • 環境設計： 座り心地の良い椅子や、落ち着く照明など「居心地」を重視。毎日同じ時間に同じ場所で学習する「いつもの環境」を作ると集中します。
    
• タイプ1（改革する人）：整然とした「キッチリ」空間
  • 特徴： 几帳面で、自分なりの規律を大切にします。
  • 環境設計： 整理整頓され、どこに何があるか決まっている環境を好みます。タイマーを置いて時間を区切るなど、規律ある環境が合います。

【感情センター】人との関わりやイメージを大切にするタイプ

• タイプ2（人を助ける人）：人の気配がある場所
  • 特徴： 人とのつながりを大切にし、親しみやすい環境を好みます。
  • 環境設計： 孤独な個室よりも、親の気配を感じられるリビング学習が向いています。対話形式で進められる配置もおすすめです。
    
• タイプ3（達成する人）：成果が見える「ステージ」
  • 特徴： 効率よく結果を出し、認められたいタイプです。
  • 環境設計： 頑張った成果（賞状やテスト結果、グラフ）が見える場所に飾ってあると燃えます。機能的で「かっこいい」文房具もモチベーションになります。
    
• タイプ4（個性的な人）：自分だけの世界観
  • 特徴： 独自の感性や美意識、雰囲気を大切にします。
  • 環境設計： 無機質な机よりも、お気に入りの小物や香りなど、自分の世界に入り込める「演出」をしてあげると、驚くほど集中力を発揮します。

【思考センター】知識や安心感を大切にするタイプ

• タイプ5（調べる人）：没頭できる「コックピット」
  • 特徴： 知識を溜め込み、一人でじっくり考えたいタイプです。
  • 環境設計： 誰にも邪魔されない静かな個室やコーナーを作り、図鑑や参考書に囲まれた「研究室」のような環境を作ると没頭します。
    
• タイプ6（忠実な人）：安心できるガイドライン
  • 特徴： 慎重で、安心感や信頼できるルールを求めます。
  • 環境設計： 突飛な環境よりも、オーソドックスで安心できる場所を好みます。迷わないように「やることリスト」を目に見える位置に貼っておくと安心します。
    
• タイプ7（熱中する人）：ワクワクする仕掛け
  • 特徴： 好奇心旺盛で楽しいことが大好きですが、飽きっぽい一面も。
  • 環境設計： 閉塞感のない開放的な場所がおすすめ。気が散らないように視界はスッキリさせつつ、カラフルな文具やゲーム感覚を取り入れた学習グッズを用意します。

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まとめ：環境は「与える」ものではなく「調整する」もの

いかがでしたか？

例えば同じ「リビング学習」でも、タイプ2（人との関わり重視）の子には最適ですが、タイプ5（一人の世界重視）の子には苦痛かもしれません。

また、視覚優位の子にはリビングの散らかりがノイズになりますが、聴覚優位の子にはテレビの音が大敵です。

「認知特性」×「エニアグラム」を掛け合わせることで、お子さんにとっての「最強の学習環境」が見えてきます。

ぜひ、お子さんと相談しながら、パズルのように環境を組み替えてみてください。

おうち受験コーチングでは、お子さんのタイプ診断を含めた詳細な学習環境のアドバイスも行っています。