メタ認知が育っていない子どもに共通する特徴と指導者ができる関わり方

はじめに:考える力の源「メタ認知」に注目しよう

すぐに『わかりません』と言ってしまう



自分で考えようとしない
こんな子どもたちを前にして、どう指導したらよいのか悩んだことはありませんか?
その背景には、“考える力”の根本を支える「メタ認知」の未発達が関係しているかもしれません。
この記事では
- メタ認知とは何か
- 育っていない子どもに見られる特徴
- 指導者としてどのように関わるべきか
について、教育心理学とコーチングの視点から解説します。


メタ認知とは何か?学力より先に育てたい力
メタ認知とは、
自分の考えや感情を、もう一人の自分が客観的に捉え、調整する力
です。
ジョン・H・フラベルによると、“認知についての認知”とも言われ、自分の学び方を把握し、改善していく力でもあります。
メタ認知は2つの要素に分けられます。
メタ認知的知識 | 自分の得意・不得意、どんな学習方法が合うかを理解する力。 |
メタ認知的技能 | 学習の計画、モニタリング(振り返り)、評価、改善といった自己調整の力。 |
このメタ認知がしっかり育つことで、子どもは自律的に学習できるようになり、応用力や問題解決力も身につきます。
メタ認知が育っていない子どもの特徴
メタ認知が未発達な子どもには、次のような共通点があります。
- 「わからないこと」が整理できず、問題に手がつかない
- 反復や暗記に偏り、応用が苦手
- 間違いの原因を分析できない
- 自分の得意・不得意を把握できない
- 学習計画や方法の調整ができない
- 他者の視点を理解しにくく、自己中心的
- 失敗を「能力不足」と感じやすく、自己肯定感が低い
こうした子どもに対して、「もっと考えなさい」と叱ったり、「やる気がないの?」と責めても効果はありません。
必要なのは、“考える力そのもの”を支える関わりです。
よくある指導ミスとその影響
メタ認知が低い子どもへの対応では、次のような指導ミスが逆効果になります。
- 感情的に叱る
- 「もっと考えなさい!」など、感情で圧をかける
- すぐに答えを教える
- 考える前に正解を与えてしまう
- 他の子どもと比較する
- 「○○くんはできたのに…」などの比較評価
- 間違いをネガティブに捉える
- 「こんな簡単な問題も間違えるなんて」など
これらは、子どもの「考えてみよう」という気持ちを奪い、受け身な学習スタイルを強化してしまいます。
メタ認知を育てることのメリット
メタ認知が育つと、子どもには以下のような良い変化が見られます。
- 自分で目標を立て、行動できるようになる(自律性)
- 問題の本質を見極め、柔軟に解決できるようになる(応用力)
- 感情をコントロールしやすくなる(自己調整力)
- 学力・学習意欲が高まる(内発的動機づけ)
- 失敗から学べるようになる(レジリエンス)
- 他者の考え方を理解し、社会性が育つ
学力だけでなく、非認知能力や人間関係力も高まるため、長期的な成長の土台としてメタ認知は非常に重要です。
メタ認知を育てる具体的な関わり方
では、指導者はどのように関われば良いのでしょうか?
以下のような方法が有効です。
① 問いかけで考えを引き出す
- 「どうしてその答えを選んだの?」
- 「どこが難しかった?」
② 成功・失敗を振り返る機会をつくる
- 「なぜうまくいったと思う?」
- 「次はどうすればいいと思う?」
③ 間違いを学びの材料にする
- 「どこで間違えたのかな?」
- 「次はどうすればできるかな?」
④ 子どもの話を最後まで聞き、受け止める
傾聴することで、子どもが安心して自分の思考を言語化できるようになります。
⑤ 他者の考えに触れる機会をつくる
グループ活動やディスカッションを通して、他者の視点を学ぶ経験を増やします。
⑥ 大人がモデルになる
指導者自身が「自分はなぜそう考えたのか」を言語化して見せることで、子どもにメタ認知の姿勢を伝えられます。
⑦ 感情への気づきを支援する
- 「今、どんな気持ちだった?」
- 「どうしたら落ち着けるかな?」
⑧ 思考を“見える化”する
マインドマップ、学習日記、チェックリストなどを使って、自分の考えを客観的に整理する習慣を育てます。
コーチング的関わりがメタ認知を育てる理由


コーチングは、問いかけや傾聴を通じて、子ども自身の思考と行動を客観視させるプロセスです。
- 良質な問いが、思考を深めるトリガーになる
- フィードバックが、行動の振り返りと改善を促す
- 沈黙を恐れず待つ姿勢が、自主性を育てる
また、コーチングは「問いのメタ認知」を育てる上でも有効です。
自分で問いを立てる力は、学びを深めるための原動力となります。
指導者自身の問いかけ力を育てよう
子どものメタ認知を育てるためには、指導者自身が「問いかける力」を磨くことが不可欠です。


- 自分の指導を振り返る(なぜこの声かけをしたのか?)
- 子どもにどんな問いを立てると考える力が育つかを探る
- 一方的な説明になっていないかを自己点検する
コーチングスキルを身につけることで、こうした“問いを使った関わり”の幅が格段に広がります。
まとめ:考える力を育てる関わりを、今日から
メタ認知は、“学びの土台”であり、“生きる力”そのものです。
「わからない」と言う子どもも、「やる気がない」わけではありません。
ただ、“どう考えればいいか”がわからないだけかもしれません。
そんな子どもたちに必要なのは、責めたり教え込むことではなく
「一緒に考える力を育てる関わり」です。
受験コーチング協会では、こうした子どもの成長を支える指導者の育成を目的に
- 問いかけ
- 傾聴
- コーチング技術
を学ぶ講座を提供しています。
あなたもぜひ、“考える力”を支える関わりを実践し、未来を担う子どもたちとともに成長していきませんか?

