家庭教師・塾業界の限界
こんにちは!
一般社団法人受験コーチング協会代表理事の鈴木詩織です。
塾講師、家庭教師の皆さん、今のお給料で満足していますか?
私は起業する前、
長年、家庭教師派遣会社で学習コンサルタントとして活動していました。
そんな中、昨今の塾業界の「限界」を感じるようになりました。
塾といえば、集団塾を思い浮かべるかもしれません。
ですが、ここ最近、
1:1
1:少人数
といった「個別指導塾」がものすごく増えています。
昨今の時代の変化はめまぐるしく、
お子さんのニーズも多様化してきていることが背景にあると考えられます。
しかし、個別指導塾で働く先生たちは、
アルバイト雇用だったり、業務委託である場合が多く、
正規雇用じゃないケースがほとんどであるという実態があります。
家庭教師に至っては、正規雇用である場合は、ほとんどないです。
そして、お給料はどれだけ指導したかの出来高制。
ですがここで、いろいろな問題が生じてくるんですよね。
1つ目は、おうちの方が支払う金額と講師がもらう金額のギャップから生じるものです。
おうちの人は、この先生は「1時間5000円の先生だ!」と思って
月謝を支払っているが、それに対して、講師料として先生に入るのは2500円。
おおもとの塾側が、手数料なりを差し引き、先生側に残る手取りが月謝の50%になるわけです。
おうちの人「1時間5000円も支払っているんだから、しっかり指導してくださいね」
塾講師「1時間2500円かぁ〜この程度だよな(心の声)」
おうちの人が求められているものと、講師側が提供しているもの
ここにズレが生じるんです。
つまり、
家庭が支払う講師料と講師が受け取る報酬の差が大きく、
費用対効果の面でトラブルが生じやすい。
ここが問題だと感じています。
そして、2つ目は、
個別指導塾などは講師の指導をしない(ことが多い)ことです。
するとしても、本当に簡単にしかしません。
ここに問題を感じています。
「先生教育をしないとまずい…」そう感じている塾側も多いはず。
しかし、最終的には塾も家庭教師派遣センターも、そこに投資はしない。
(できないと言った方が正しいかもしれません。)
というのも、
複数会社を掛け持ちする講師も多く、講師教育に費用をかけづらいんです。
塾が力を入れて人材教育したとしても、
より時給の高いところに行かれてしまったり…。
大学生の講師を雇っている塾も多いので、結局卒業したら、
講師を辞めていっちゃう人もいて、
そうすると研修費用が無駄になるという事情もあります。
だから、仕組み上しょうがないのです。
経営判断としても正しいと思います。
一方、直接契約の家庭教師であれば、
お給料の額と提供する価値をすり合わせができる。
しかし、デメリットとしては、
トラブルがあった際に間に入ってくれる人がいないので自分で対処しないといけない。
初心者や副業でやる場合にはリスクは大きいと思います。
そして、コネがないと仕事が入らないので、安定した収入を得るのが難しいことも。
そして3つ目は、指導に関する限界です。
「わからないことを教えてください」
そこを教えるのが家庭教師塾講師の仕事ではあるのですが、
わからないところを教え続けても根本的な解決にはならないんですよね。
わからないところをつぶしてもまた出てくる。
もぐらたたき状態。
つまり、わからないことが出てきちゃう勉強の仕方を、多くのお子さんがしてしまっています。
わからないところが出てきたら自分で解決できるところまで導いてあげないと
ずっと、塾や家庭教師に依存する子になっちゃうというところなんです。
しかし、塾の側に立って言えば、売り上げ的にはそのほうがいいんです。
たくさん授業をとってもらって、たくさん指導に行ってお金をもらって…。
でも、講師がついている間は、成績をキープできるけれど
講師がいなくなったら「この子はどうなっていっちゃうんだろう」
と思っちゃうんですよね…。
一方、最近は学校教育も
「自立した人間を育てよう」という方針に変わってきています。
それに対し、多くの学習塾のやり方が「管理教育」。
とにかくたくさん宿題出して
言われた通りにやっていきなさい!
言われた通りやれば受かるから!
そういう教育をしているんです。
これを続けている限り
「自分で考えて判断して行動し、結果に対して責任を持つ」
そういった自立心は育たないなぁと思うのです。
ここに塾業界の限界があるのではないでしょうか。
目次
〜塾業界の限界〜まとめ
・家庭が支払う講師料と講師が受け取る報酬の差が大きく、費用対効果の面でトラブルが生じやすい。
・複数会社を掛け持ちする講師も多く、講師教育に費用をかけづらい
・管理教育は、塾側が収入を得るのにはいいが、子どもの本当の自立心は育たない。
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